2003年 03月 21日
IASB業績報告プロジェクト |
世界では遂にイラクへの攻撃が始まって大変なことになっていますが、ここでは会計の話をさせて頂きます。前回の減損会計では､時価会計に触れた折に実現概念の話をしましたが､この実現概念について､現在すごいことが起きています。それは、IASBにおける「業績報告プロジェクト」です。この「業績報告プロジェクト」とは、IASBとASBの共同プロジェクトで、要は企業の財務業績を投資家等に示す財務諸表の表示方法について検討するプロジェクトです。これまでの議論によると、このプロジェクトでは実現概念を否定して､財務業績指標を包括利益に一本化するといった内容になっています。実現､未実現を問わず､業績指標を包括利益に一本化してしまうと、企業の純利益がわからず、実現された利益を知ることができません。一体、包括利益にどれほどの有用性があるのでしょう？包括利益より純利益のほうが有用性が高いことはこれまでの実証研究でも証明されています。この業績報告プロジェクト、このままIASBにおいて基準化された場合、世界の会計に与える衝撃は相当大きなものになるでしょう。もし、このような基準ができたとしても、果して、この考え方が世界共通で通用するものなのでしょうか？非常に疑問を感じます。極端に金融経済が発展しているイギリスやアメリカのような国において整合的なものがそのまま世界共通の基準として罷り通るとは思えません。IASBでは日本のような国の意見も大いに参考にして基準設定を行っていくべきですよね。今現在はほとんど無視されていますが…。
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by yangyi0312
| 2003-03-21 00:00
| 会計一般
先週くらいから減損会計について新聞､TVでみることがあります。先週、ズームインでも説明していたので。さて、そもそも減損会計とは何ぞや？ということですが、一言でいうと固定資産（土地､建物など）の時価評価（価値下落のみ）のことです。6日の朝刊には、ASBJによる減損会計の中間報告の記事が載っているのに、最近では全くその議論に逆行する形での導入延期論が政治家から言われています。最近は政治家が会計基準のうまみというものに気付いてきました。会計基準は経済に多大な影響をもち、損益をひっくり返すことができる妙薬です。会計に限ったことではないですけど､政治家が横槍を入れて、政策がめちゃくちゃになることが多々あるように思います。必要な議論もせず､やってしまえの勢いで法律を成立させたり､政策を180度転換したり、そのくせ全く説明責任も果たしていない。一体どうなっているのでしょう。話が相当ずれてきたので会計の話に戻しますと、そもそも私は時価会計には否定的な立場です。もちろん時価が全く意味がないとはいいません。ただ､財務諸表本体に時価評価を全面的に採用するのはどうかと思います。会計における実現概念を重視したいわけなのですよ。例を挙げると、株式の時価評価については、売ってもないのに損益計上するのはちょっとどうかと思うわけです。もし本当に、みんなが時価評価した時点で株を売ったとしたら、そんな額では取引できるわけがない。株式市場は大暴落、ちょっとした恐慌になるでしょう。あくまで、本当に売った時点、つまり会計でいう実現した時点で、損益を計上するべきです。時価の表示は注記で行えば十分ではないかというのが私見です。
このホームページは、一応“会計学”を中心に扱おうとしているので、とりあえず初回は会計について書いてみようと思います。さて、その“会計”とは一体何なんでしょうか？一般に“会計”と言うとたぶん簿記や経理ということを連想されると思います。それはそれで間違いではないですけど、簿記は会計の手段（道具）に過ぎないし､経理はまあ実務一般を指すものと言っていいでしょう。会計とは、経済主体の営む経済活動を認識､測定､記録､計算し伝達するプロセスと定義することができます。なんか難しそうに言ってますけど､株式会社はもちろんのこと、ちょっとした集まりでも会費を集め、その収支報告が会計係によってなされていますよね。これがちゃんとなされないと、やはり会費を払った手前、納得いきませんよね？会計学とは､その経済活動をどう認識､測定､記録､計算し､伝達するかを社会と照らし合わせて､より良い会計構造を考える社会科学であると思います。最近言われている国際会計基準や時価会計ということが、本当にいいのか？どんな問題をはらんでいるのか？他にも粉飾をさせないようにはどのようにすればよいか？良い企業が正しく評価されるためにはどのようにすればよいか？つまりは適正な会計（財務報告）をするにはどうすればよいかということです。