2010年 01月 26日
会計基準のコード化 |
一度書くと、勢いがつきます。コラムです。今回は、会計基準のコード化について。アメリカでは、数が増えすぎてカオス化している会計基準をコード化して一つに体系化しています。イメージとしては、法律のように条文化したと言ったところでしょうか(○○法第○条第○項みたいな)。コード化というと、身近なところでいえば、バーコードや学籍番号、郵便番号、電話番号などがありますが、事務処理やコンピュータ処理の際に情報を扱いやすくするためのものです。SEやっている頃には、データベースを作成するときに、どれだけ良質なコード体系を組むかが問われたものです。シンプルかつ重複なく、見ただけでわかるもの。コード化は、情報処理のスピードを飛躍的に上げる効果があります。さて、話を会計基準に戻しまして、会計基準のコード化は、2009年7月1日から正式に運用が開始されています。その名もFASB Accounting Standards Codification、FASB-ASCと略すそうです。無数の会計基準設定主体から公表されていた何千もの米国会計基準をおよそ90のトピックに整理しています。もととなっているのは、2009月6月29日公表のSFAS168号「FASBによる会計基準のコード化と一般に認められた会計原則のヒエラルキー―SFAS162号の差し替え」。これまでの会計基準はすべて廃止され、GAAPのヒエラルキーもA,B,C,D,Eの5段階あったものが、権威があるかないかの2段階とシンプルなものになりました(依然として概念フレームワークは権威がない扱い)。ある事項の会計基準といっても、基準があまりに分散しすぎて、見落としがちだし、見落としているのではないかと不安だし、といった今までの問題は、回避できたように見えます。IFRSや日本基準との比較もやりやすくなったのではないでしょうか。コード化のメリットは、なんといっても調べやすさです。準拠する会計基準も明確ですし、リアルタイムで更新されるので、アクセスすれば間違いないと言えます。ただ、書籍化されたものを使用するには限界がありそうです(ペーパーの方が何かと使い勝手がいいものですが)。私自身のおさらいとして、構成について解説を。コード化は、XXX-YY-ZZ-PP 、(トピック)-(サブトピック)-(セクション)-(パラグラフ)という形式で行われているそうです。トピックは、表示部分とか、勘定科目(構成要素)とか、取引別(事業結合、デリバティブなど)とか、産業別((航空、不動産、ソフトウェアなど))とか大きな括りで、サブトピックがその下、つまりトピックの部分集合(「リース」のサブトピック→「オペレーティング・リース」「キャピタル・リース」みたいな)、その次にサブトピックの内容の性質(「認識」「当初測定」「開示」など)であるセクション、そしてサブセクション、パラグラフ、サブパラグラフと続くそうです。ちなみに、SECの指針は、セクション番号の先頭にSがつくとか。今後新しい基準は、基準本文とFASB-ASC更新指示書「第YYYY-XX号」(公表年-通し番号)というものがセットで公表されると。体系化されたことで、かなり見易くなったと思われますが、このコード化、波になるのやら。
by yangyi0312
| 2010-01-26 21:45
| 会計一般