2010年 01月 24日
公開会社法 |
最後のコラムから2カ月。すっかりご無沙汰してしまいました。コラムです。1/5日経一面では、公開会社法を2011年立法化に向けて法制審議会に諮問する方針という記事がありました。現在の会社法は、商法の会社編が分離独立して平成18年から施行されていますが、公開会社法とは一体なんぞや?ということで、ひとつ書いてみることにしました。立法の狙いとしては、有限会社法のような内容(株主=所有者、経営者=代理人)、市場を意識しない内容となっている会社法を、市場に近づけよう、金商法のルールも会社法のルールとして認知しよう、会社法と証券規制との間に接点を作ろう、というものらしいです。昨今の村上ファンド的な発想では、“会社は株主のもの”、“株主利益最優先”なんて言いますが、会社は定款に書いてある目的実現のための組織であり、資本はその目的を助け、貢献するものであり、資本のために経営するわけではないというのが正しい考え方でしょう。稼いだ利益を雇用にまわすか、設備投資にまわすか、配当にまわすかは、経営判断事項であり、利益は株主のものであるとして、経営者を縛るようでは、一体何を信任しているのかという話です。投資した時点で、そのカネは会社のものであり、気に食わなければ、売ればいいのです。有限責任のくせに、無限責任のような態度は横柄でしょう。責任と所有の関係が歪んでいるのは、親子会社でも一緒です。実際は集団で行動し、責任とガバナンスは別(100%親子でも会社としては対等)。支配するけど責任はないでは、やはり無責任です。このような市場で投資家を相手にしている会社、企業集団を形成している会社を有限会社のように扱い、運用がおかしくなっている部分を改善しようというのが公開会社法ということです。中身はよく知りませんが、民主党案やら取締役会協会で作成された公開会社法要綱案などがあるそうです。ポイントとしては、情報開示の徹底、企業統治の強化、企業集団に関する責任や権限の明確化の3つがよく示されています。あと、監査役会への従業員代表の参加も取り立たされているようですが、海外もそうだからという議員の浅知恵といった要素が大きそうです。社会構造や企業環境、文化を無視した真似事は、混乱の温床になるので、注意してほしいものです。欧米は、個人が社会の基礎にあることが大前提という認識があるからこそ、社会の主人公である個人が株を買うと、株主としても大事にされ、個人が尊重されるからこそ労働者が大事に扱われるという流れであるのに対し、日本では株を買えば主人公になれる、労働者を参加させればよくなるという、何か安易な発想が垣間見えるような気がします。まあ、欧米でも昨今の市場原理主義的な様相のなかでは、市場だけが肥大化してデモクラシーとのバランスを失っていたと言えますが。公開会社法について書こうと思いましたが、ちょっとした“会社は株主のもの”批判になってしましました。切りがいいので、今回はこの辺で。
by yangyi0312
| 2010-01-24 18:48
| 会計一般