2009年 11月 22日
アジャイル開発の契約形態、そして収益認識 |
寒い日が多いですね。コラムです。最近、書店のビジネス雑誌コーナーには、IFRSモノが並んでいます。我が家に隔週で送られてくる日経コンピュータを見ていると、こちらでもIFRSという単語は毎号目にします。業界を離れると、得てして読むのが気晴らしになったりします。最近は、クラウドネタが多いのですが、11/11号でアジャイルの話が面白かったので、それをもとにちょっと駄文を起こしてみます。さて、最近、アジャイル開発が熱いらしいです。富士通の統計では、技術者の満足度が全国平均を上回るとか。キーワードは、「繰り返し開発」と「振り返り」。基本は、ウォーターフォール開発で、そのなかでアジャイル開発手法である「Scram(スクラム)」を使用するのがベターだという紹介がありました。「繰り返しと振り返りは大規模開発でもそのまま適用できる」ということで、要は、アジャイル開発とウォーターフォール開発の使い分けや融合を目指すという形。アジャイル開発の場合、短期間の繰り返し開発と振り返りが行われるため、仕様変更を受け入れられる(発生するタイミングも早い)手法だということです。ただ、アジャイル開発は、その性質上、請負契約が馴染まないという点が結構採用のネックになっているようです。どちらかというと準委任で要件定義やコンサルと同様の契約が向いていると書かれています。おそらく、一緒に考えながら作る作業というのが、請負ではベンダーにリスクがあるということからなのでしょう。ただ、ソフトウェア開発の場合、準委任契約にするとトラブルの温床になりやすいと言えます。準委任の場合、請負のように成果物の納品が要件とならずに、作業期間や工数の満了をもって契約の履行となるため、善管注意義務に違反しない限り、成果を問われないことになります。ユーザーとしては請負が望ましいけど、ベンダーは準委任が望ましいとなる構造をもう少し業界でまとめる必要がありそうです。さて、この契約形態の違いを会計の観点から捉えなおすと、要は財とサービスの違いに行きつきそうです。請負は、成果物の納品を持って契約完了ですから、まさに財の提供、つまり財の移転をもって収益を認識するでしょうし、準委任の場合、一定の期間、作業に従事することをもって契約完了ですから、サービスの提供の終了をもって収益を認識することになります。ただ、サービスの提供(準委任)の場合は、もう少し現実は複雑な気がします。準委任契約として行われるものとして、IT業界であれば、コンサルや保守サービス、他業種だと医療行為や不動産仲介、介護等のサービスが該当します。さて、この場合、すべて提供終了時というのがいいのか悪いのか、かなりケースバイケースです。発生主義に基づけば、サービスを行っているときに継続的に移転しているようにも考えられますし、もう少し掘り下げて考えてみたいものです。あと、契約形態と言えば、民法上は贈与・売買・交換・消費貸借・使用貸借・賃貸借・雇用・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解の13の契約形態が規定されているわけで、ここら辺も少し債権法の改正とあわせて吟味したいと思う今日この頃。とりとめもなく、ダラダラと書いてしまいましたがここで終了。
by yangyi0312
| 2009-11-22 13:46
| 会計一般