2009年 08月 11日
現代会計と会計学説 |
日本は災害列島だと思わされる今日この頃。コラムです。現在の財務諸表はB/S、P/L、C/F計算書の3つ、IASBの財務諸表の表示に関する予備的見解によれば、財務諸表は財政状態計算書、包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つとなります。C/F計算書が制度化されて久しいですが、この財務3表の関係は、どんどん緊密なものとなりつつあります。上記DPでは、区分も統一される方向で、お互いが相互補完することを目的としています。この構成をみているとルフチの資金動態論なり、ケーファーの資金計算書論なんかは古くて新しいのかな、なんて考えてしまいます。ある論文集では、複式三元簿記なんてものを目にしたこともあります。今のB/S重視の潮流は、ハットフィールドなんかの資本主理論を基礎としてB/S重点主義の論理をとりながら、評価にあっては実務を基礎とした原価主義の適用という論理一貫性には問題はあるかもしれませんが、それなりに合理化された理論体系も非常に参考になりそうです。古今東西、会計学説というのはごまんとあり、すべてを網羅するには余りあるほどの量ですが、温故知新、ひとつひとつを吟味してみる価値はありますね。昔の理論は、本当によく吟味されたものが多いと思います。会計をどう捉えるかという、個別資本説(資本循環説)、上部構造説や会計原則論、会計構造論、会計政策論等もありますが、単純にどれというものでもなく、それぞれ会計の一面を切り取った、どれも“あり”な考え方にみえます。厳密な解釈論争は、学者々々していて意味がどこまであるのか疑問なところもあります。ただ、個人的には、資本循環を無視した経済価値思考の会計計算はちょっと違うかなって思います。キャッシュ・フロー予測は、簿記の記録とは別次元のものなので、この導入によって計算構造が崩れ、会計の会計たる所以がなくなってしまうのではと危惧します。簿記については、中西寅雄が「簿記は企業の活動、換言すれば、個別資本(企業資本)の運動、即ちその増殖過程を記録計算し、計数的に把握する方法である。」、畠中福一が「利潤の発見という実践的要求に基づいて、その立場から、具体的な社会関係たる資本の循環過程を把握する方法」、木村和三郎が「簿記とは企業における個別資本の循環運動を記録計算し、もってその損益的結果を明らかにするもの」として仕訳と転記、そして期間決算という手続きがあるものです。P/Lが決算におけるB/Sの直接的修正項目の価値修正量をあらわすだけの表になってしまうのでは、その有機的繋がりというはどこにいってしまったのやら、と思ってしまいます。それにしても年配の先生方から書物でしか知らない過去の大先生の話を聞くのは、実に為になります。
by yangyi0312
| 2009-08-11 23:21
| 会計一般