2009年 07月 16日
PAAinEの成果 |
夏本番。暑いです。コラムです。ここんとこ収益認識プロジェクトのDPを読んでいて、PAAinEの影響をひしひしと感じました。基本コンセプトとしていた実現・稼得アプローチからの離脱を、放棄することを意味しないと方向転換したり、履行義務の充足に「支配(資産)の移転」という正に実現主義の概念を組み込んだり、“Revenue Recognition-A European Contribution”で提言された内容を意識しているように見受けられました。この討議資料、収益費用アプローチの有用性を説く上で、非常に大きな役割を果たしたと言えます。ただ、整合性に欠ける部分、説明が不十分な部分が多いのは、たまに傷ですけど。最近のPAAinEは、2006年11月に公表した“THE PERFORMANCE REPORTING DEBATE”に続く第2弾として2009年3月に“PERFORMANCE REPORTING”という討議資料が公表されています。タイトルを「財務諸表の表示」ではなく「業績報告」としているところがニクイ。第1弾の副題“What ( if anything ) is wrong with the good old income statement?”もシビレます。PAAinEのIASB/FASBの基準設定と同時並行的に議論して、基準設定の早い段階で資料を公表するという活動は、確かに画期的なものですね。分厚い資料が突然公表されて、コメントはいついつまでと言われても、自ずと対応には限界があります。でも、この作業はあまりに苦しい(キツイ)ので、欧州ではPAAinEをペインと呼ぶらしいです。さて、まだ3月のPAAinE討議資料も昨年10月の財務諸表の表示プロジェクトのDPも読んでいないのですが、収益認識をやっている以上、包括利益計算書の表示は避けて通れないものです。しっかり内容を吟味しないといけません。最近は、ASBJもアドプション対応のためか、翻訳に力を入れているため、和訳を素早く出してくれているので、時間がないとか甘えてられません。財務諸表の表示プロジェクトでも、当期純利益の廃止という路線から、当期純利益の表示を維持するという方向転換がされているようです。それにしても、ザっと雛形を見ても、なんか唖然としますね・・・。特に、財政状態計算書。今後、簿記はどうなるんでしょう。そう言えば、ASBJの財務諸表表示専門委員会から10日に「財務諸表の表示に関する論点整理」が公表されています。最近の会計は、ますますスピード感がでてきていますね。週刊ダイヤモンドでも今週号は「IFRS襲来!」なんて特集を組んでいますし、2015年に向けて動きは激しくなる一方です。
by yangyi0312
| 2009-07-16 00:33
| 会計一般