2009年 05月 13日
「工事契約に関する会計基準」が施行されて |
当分祝日は遠のきました。コラムです。いよいよ「工事契約に関する会計基準」の適用が始まりました。一応、追っかけているテーマのひとつなので、最近の記事をもとに駄文を少し。まず、先月20日に経済産業省の“受注制作ソフトウェアにおける工事進行基準適用に関する勉強会”から論点整理が公表されていることから。この勉強会と論点の整理は、中小のITベンダーに蔓延する工事進行基準適用への不安や誤解の解消を目的としています。そして、その不安や誤解というのは、必ず工事進行基準を適用しなければならないのか、適用しなければ仕事がもらえなくなってしまうのか、というものです。確かに新聞、雑誌等での表現によって過剰反応していた感はあります。誤解を招いているのは、「すべての案件」とか、「適用の有無で企業の管理体制が判断される」という極端な表現によるものだと思います。「すべての案件」という誤解については、会計基準上は要件を満たしているか満たしていないかだけの判断になりますし、記事のとおり工事完成基準は「中小企業の会計に関する指針」でも認められていると思います。ただ、税法上は、契約期間1年以上かつ請負総額10億円以上の請負工事については適用しなければなりません。現実の適用状況は、日経ソリューションビジネスのアンケート調査によると、年商100億円以上のITベンダーの89.3%が適用、もしくは適用予定だそうです(有効回答率は45.5%ですが)。ちなみに、すべての案件に適用していると回答した企業が8社あるようです(スゴイ)。次に「適用の有無で企業の管理体制が判断される」という不安についてですが、個人的には“適用の有無=プロジェクト管理の質”ではなくて、“適用の有無≒プロジェクト管理の質”ということで、絶対とは言えないだけで、ある程度当たっていると思っています。つまり、工事進行基準を適用するにはある程度のプロジェクト管理の質が必要であるのに対して、プロジェクト管理の質の高い企業のすべてが工事進行基準を採用しているとは限らないと。先のアンケートでは進行基準適用とともに取り組んだ施策として、91.4%の企業が“プロジェクト管理の強化”と回答しています。やっぱ、管理体制をみる基準としては合理性があると思います。そして、論点整理では、基本的に誤解について「そんなことはないよ」というスタンスですが、IFRS適用とともに原則適用される時代がくるのは時間の問題ということを忘れてはいけません。そのためには、プロジェクト管理の質の向上と代金支払いに関する商慣習の変更が必要となってくると思います。しかし、今回のような現実の話題と前回までのような理論の話題が、うまく結びつかず、乖離してしまうのが悩ましいです。整理がつかないというか何というか。まだまだ修行が足りません。
by yangyi0312
| 2009-05-13 22:39
| 会計一般