2009年 05月 01日
併存会計 |
皐月になりました。コラムです。今月の『會計』は、昨年末の研究学会関西部会編なのですが、統一論題「現行会計実務をどう説明するか-取得原価主義会計・公正価値会計・併存会計」にシビれました。取得原価主義会計の枠組みにおいて説明する見解、公正価値会計の枠組みにおいて説明する見解、併存会計の枠組みにおいて説明する見解を取り上げて、その説明の妥当性を検討なんて、聞いただけでも鼻息が荒くなってしまいます(フンっ)。様々な理論が錯綜する現行の会計をどう説明するかという関西会計学界の意欲的な論題とその内容に、勇気を覚えました。特に、事業活動と金融活動を分ける必要性を感じていた私にとって、会計構造から測定を捉えなおす発想は、斬新かつ非常に共感を持つ内容でした。長期的な研究開発を行っている企業の財務的成果(当期純利益)と短期毎の業績評価(いわゆる包括利益)が相反し、目的ではうまく説明できない混合測定モデルにおいて、経済活動の態様をもとにした資産分類から導かれる会計構造によって測定を捉え、測定の大枠に沿って計算対象の論理(対象の属性や目的など)に従い詳細を決めるという流れは、非常に整合性ある理論の可能性を秘めているし、これぞ会計学といった感じがしました。個人的には、プロダクト系、ファイナンス系、ナレッジ系の3類型も何かしらの示唆を与えてくれる分類になるのかなぁって思ってます。どういう形になるかは?ですが、やはり業績表示は、大きく変える必要があるのかもしれません。マトリックスな報告書もアリだと思うし。とまあ、妄想は膨らむばかりですが、手許の研究は進んでいません…。週18コマに授業準備にあれやこれやでは、なかなか手が回らないというかなんというか、言い訳ですね…。グチはいいとして、今回のタイトルでもある“併存会計”という表現ですが、個人的にはハイブリットな会計理論という言い回しで表現していました。今月号でかなり使用されているので、この表現が一般化してしまうのかな。
by yangyi0312
| 2009-05-01 23:19
| 会計一般