2009年 04月 26日
負債評価益 |
NEW PCからの更新。コラムです。さて、米国の大手銀行は、1-3月期の決算で業績が好転してきているようです。ただ、会計処理のカラクリがあるとかないとか。それが今回のタイトルでもある“負債評価益”。シティが27億ドル、バンカメが22億ドル計上しているということです。この負債評価益がなければ、シティは赤字、バンカメも利益が半分になるとか。ちなみに、負債評価益とは、社債などの企業の負債の市場価値が下落した場合、債権者への支払い義務も減少するとみなして評価益を計上するものです。つまり、買入償還しようと思えば、かなり安い金額で償還できるのでその分利益を計上するということ。自社の信用が下がっているのに、利益が出るっていうのは、なんかしっくりこないですが、仕組み的には「まあそうか」といったところでしょうか。でも、債券は基本的に満期に支払うものですから、市場価格が下がったからといって、利益を計上するのは如何なものかとも思います。買入償還したのであれば、そのときに償還益を計上すればいい話で、先取りというか、その場の状況で利益を計上するのは、なんか怪しいですし、形式上そんな利益で決算が黒字になっていても、実態を見えづらいんじゃないでしょうか。さて、この話の根っこは、公正価値会計といわれる、いわゆる時価会計の適用があります。この処理はSFAS157号「公正価値測定」に代表される公正価値評価を求める一連の会計基準のひとつであるSFAS159号が認めているのですが、とにかくモノの価値は現在出口価格、つまり、その日に売れる価格で財務諸表に載せようというものです。なんのためにそんなことをするのかと言えば、財務諸表は決算日における企業の経済的実態を正確に示さなくてはならないという考えのもと、なるべく操作の余地がない情報ということで、そのときの時価、ということになるわけです。そして、利益はその時価の変動差額ということになるわけで。ちなみに、時価会計と対置して論じられる取得原価主義会計は、企業の経済的実態の開示よりも正確な損益計算を重視した考え方に基づいていて、そこでは、発生した費用と実現した利益の計算に基づいた期間損益計算、つまり実際にいくら儲けたかという計算をしたうえで、まだ費用化していないものを資産として捉えています。皆さんは、ストックとフロー、どちらを重視して報告したほうがよいと考えますか?
by yangyi0312
| 2009-04-26 00:01
| 会計一般