2009年 04月 22日
連結基礎概念 |
新年度早々、いっぱいいっぱいです。コラムです。とりあえず、何か書いておこうと思い、PCに向かってます。昨日今日と日経で“新米国会計基準の波紋”という特集をやっています。昨日の記事は、「純利益の定義が変わるよ」というものでした。話の根っこは、親会社の視点で連結財務諸表を作成する親会社説から、グループ報告企業、つまりグループ全体の視点で連結財務諸表を作成する経済的単一体説に、連結基礎概念がシフトしていることにあります。この視点の違いによって、利益の考え方が変わってくることになります。どういうことかと言うと、これまでは親会社の株主の視点で考えていたため、純利益は、トータルの利益から少数株主に係る利益を差引いて算出していました。それがグループ全体という視点になることによって、トータルの利益が純利益となり、その純利益を親会社持分利益と少数株主持分利益に分けるというプロセスに変わることになります。会計は、企業の経済活動を写像するものだと言いますが、会計基準とは、写真でいうところの絞りや角度などを規定するものであり、基準の変更は、絞りや角度などの変更と言えます。つまり、視点が変わることによって、被写体の実体は変わらないけど、見え方が変わってくることになるわけです。すなわち、時価会計だろうが、取得原価主義会計だろうが、会社の経済実体は何ら変わらないけど、財務諸表の数値は全く変わってくると。で、会計学者は、どの考え方(理論)が経済実体をうまく写像することができるか、ということを日々考えているわけです。さて、連結基礎概念の変化には、そのまた背景として会計主体論の変化があります。IASB/FASBの概念フレームワークプロジェクトの「財務報告の目的」の公開草案では、財務諸表の利用者を株主のような特定のグループから幅広いユーザーに範囲を広げ、会計主体、つまり誰の立場から会計を行うかという観点を広く捉えるようになってきています。そして、その立場は、会計の目的をどう捉えるかによって規定されてくると思います。つまり、会計の意義を受託責任の遂行に求めるのか、投資の意思決定有用性に求めるのかといったことです。受託責任の立場に立てば、会社は株主のものという前提で論理が組まれますし、意思決定有用性の立場に立てば、連結基礎概念でいうグループ全体の観点から見るのが望ましいと言えるのかもしれません。ちょっと乱暴な内容になりましたが、今年度もとりあえず月一は守って書いていこうと思います。最後に、昨日の夕刊に「観光振興「休日改革」」という見出し記事のなかで“有給休暇引当金”の基準化に触れていました。有給休暇取得率の低い日本では、ぜひ制度化してもらいたいものですね。
by yangyi0312
| 2009-04-22 23:38
| 会計一般