2009年 03月 12日
金融経済と実物経済 |
コラム始めてちょうど6年。私も29歳になりました。来年はいよいよ、、、です。さて、IFRS導入に向けた議論が日々熱を増しています。IASBのガバナンス、原則主義への対応、基準(理論)の整合性と論点も多様です。そして、考えれば考えるほど統一の難しさ(矛盾)が浮き彫りになります。仮に今、全世界がIFRSを適用したら、どうなるのでしょう。ある国の経済制度に即した形で作られていた最適の会計基準をIFRSに変更したため、事実に即した会計数値が導けなくなったとか、IFRSを使用しているが会計担当者や監査人が守らない、もしくは理解していないとか、国によっては一部IFRSを適用していない規制をかけているとか、経済制度との相性、実施メカニズム(教育など)の水準、カーブアウトといった様々な問題が生じることになるでしょう(実際に起きているか)。よく言われるのは、情報の比較可能性を高めて、資本コストを下げるのは、基準の統一ではなく、実務の統一だと。経済制度や個々の取引レベルの実務が同じようになれば、会計基準も必然的に同じになっていくし、コンバージェンスは達成されるということです。確かに、基準のコンバージェンスにかかる争いは、慣習の違いからくる争いであり、どちらに合わせるかという争いです。今行われていることは、“実務の統一→基準の統一”とは真逆で、基準の変更を呑んだ側が必然的にその実務や慣習も取り入れることになります。ただ、文化や慣習はそう簡単に変わるものではないので、実体と会計数値に乖離が生じてしまいます。難しいですね。忠実な表現を維持して会計を統一していくためには、やはり会計基準のコアとなる概念の整理が必要だと思います。誰もが納得いく形で。それは、おそらくIASBが進めてきた全面時価会計(公正価値会計)ではないでしょう。全面時価なんていうのは金融経済を過大評価し過ぎたものであり、実物経済の壁にぶち当たること請け合いです。私見ですが、実物経済と金融経済は、認識・測定プロセスが全く異なるものだと思います。実物経済においては、プロセスが重視され、顧客の販売に基づいたフローに着目する認識・測定モデルが事実に即した財務情報を生み出すであろうし、金融経済で動いている金融資産は、価値の変動を追跡したストックに着目した認識・測定モデルが適していると考えます。つまり、現行の会計基準における金融資産を保有目的別に評価しているのと同様に、目的別に評価規準を設定するのが適切かなぁと。なにかと混乱や会計数値の質を低下させているのは、実物経済に対する公正価値評価なのではないでしょうか。プロセスと切り離して資産の価値を捉える方法は無謀です。今後のテーマは、収益認識を中心に、金融経済と実物経済における認識・測定プロセスの違いとその理論的融合です。できるかなぁ~
by yangyi0312
| 2009-03-12 18:41
| 会計一般