2008年 12月 21日
会計基準のおさらい ~先月から~ |
今年も残すところあと少し。そして、今日は冬至です。早いもんだ。コラムです。なんとなく2日連続の更新。さて、相も変わらず、新しい基準は日々公表されています。ここ1か月分くらいをおさらいしてみたいと思います。まずは、11月28日に公表された、企業会計基準第20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」。名前の通り、賃貸している不動産、あと投資目的で所有している不動産を時価開示しようという基準です。これまで、取得原価で開示されていたので、実態の開示が進むと思われます。適用は、2010年3月期末からです。そして、公表はまだですが、12月18日にM&Aに関する会計基準(「企業結合に関する会計基準(案)」、「連結財務諸表に関する会計基準(案)」、「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正(案)」、「事業分離等に関する会計基準(案)」、「持分法に関する会計基準(案)」)が議決されています。この決定で、正式に持分プーリング法の廃止が確定し、負ののれんに関しては、20年以内の定額法償却から、買収した期の特別利益に一括計上することが決まりました。これは、簿記検定にも影響がありますね。基準ではありませんが、最近ホットな話題は、12月5日に公表された、実務対応報告第26号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」でしょう。海外における時価会計の緩和を受けて、日本企業が会計数値上の不利益を受けないようにと議論されていた、いわゆる時価会計の緩和策です。会計処理が変わっても企業の実態は何も変わらないのに・・・ねぇ。中身は、タイトルの通り、時価評価が必要な「売買目的」「その他」に区分されている債権を時価評価を必要としない「満期保有目的」に変更できるとするものです。これによって、金融機関が保有する証券化商品や変動利付国債の損失を先送りできることになります。こんなことして一体どうなると言うんでしょう。世界中の投資家、基準設定機関が時価会計の緩和(凍結)に反対しているというのに、お上や企業は揃って、損失先送り(隠蔽)しろと言ってるわけで。時価会計の緩和ではなく、非常時に如何に合理的に基準を適用するか、追加指針の充実による基準の精密化で乗り切るべきという意見に一定の共感を持ちます。時価会計というものをどのように捉えるのか、取得原価主義(収益費用アプローチ)と時価主義(資産負債アプローチ)というトレードオフ関係にある両者をどのように融合させれば、会計において企業実態をうまく表現できるのか、悩ましい研究課題が盛りだくさんです。
by yangyi0312
| 2008-12-21 12:40
| 会計一般