2004年 03月 10日
ビッグ・バス |
微妙に忙しいのかもしれません。コラムです。今回は、“ビッグ・バス”。決して、大きなバスでも、大きなブラックバスでもないです(さぶっ)。ビッグ・バスは、最近よくあるV字回復というやつに代表されるような、ある期間において多大な損を計上して、潜在的な損失を一掃して、次期以降の損益に対して利益を増加させるというものにとても密接な関係があります。一言でいうと、業績が悪い期間において、より多くの悪い情報を流して将来の利益の増加をもくろむことをいいます。最近は、時価会計の導入などによって、多くの企業でビッグ・バスが行なわれているように見受けられます。V字回復の裏にあるビッグ・バスを私たちはどう評価すればよいのでしょうか?継続企業という前提があり、B/SとP/Lにおいてクリーン・サープラスが成り立っている限り、全期間におけるトータルの損益は変わることがないため、期間の間における利益操作は必ず相互に作用を及ぼすわけです。私自身、このような複式簿記システムの仕組みは、被写体を写すためのレンズである会計の非常に重要なポイントであると思います。よく、米国基準を適用するとこの会社は赤字だの何だの言いますが、そういう議論のなかでは、大抵その逆のことがあるということを無視しています。そう、米国基準を適用する方が多く利益が出ることだってあるのです。現に、三菱東京FGの2003年3月期決算では、日本基準で1,614億円の赤字であったのが、米国基準では2,032億円の黒字でした。両者には、約3,600億円もの利益の差が生じています。原因は、株式の減損処理や不良債権の処理が米国基準では厳しかったために、すでに損失を計上していたためその分費用が少なかったということですが、果たしてどちらがより正しい数字と考えられるのかは微妙なところなのではないでしょうか。東三以外にも、ミレアHDなんかでも米国基準では、日本基準の6.7倍もの利益が計上されています。ビッグ・バスのように損失は早く処理した方がいいのか、それともこれまでの日本のように利益をなるべく平準化したほうがいいのか、一概に損失処理の先取りがいいとも言えないのではないかと思います。しかし、どちらがいいのかは私にはわかりません。まあ、誰にもわからないのかもしれませんが…。
by yangyi0312
| 2004-03-10 00:00
| 会計一般