2006年 07月 17日
情報サービス産業の会計問題 |
沈黙してしまった2ヶ月の間に“金融商品取引法”も成立しました。会計業界では、中央青山の業務停止命令なんかもあり、話題は山のようにあって(あり過ぎて)、放置(放棄)している間に資料に収拾がつかなくなってしまっています。新聞のスクラップも山のよう。。。コラムです。とりあえず、3連休ということでここいらで書いちゃいます。今回のお題は、“情報サービス産業の会計問題”。2月の『企業会計』のタイトルそのままです。情報サービス産業といっても、具体的にどういう産業なのかピンとこない人が多いと思います。いわゆるIT系の企業を指していると言えば、正しいとも言えますが、この“IT系”という言葉がわかりづらくて、また胡散臭い。要は、情報に関するサービス、主に(というかほぼ)コンピュータに関してハードウェアやソフトウェアを提供したり、コンピュータを通して情報サービスを提供する企業を総称する業界ですね(結局そのまんま)。具体的には、○○総研といったコンサル系の会社から、○○システムといったいろんな業界(金融、商社、メーカーなど)にあるシステム会社、ポータルサイトなんかでネットビジネスを展開する会社やMSやIBMといった外資系のソフト会社やハード会社と幅広いです(だから、わからない)。この業界、残業や精神疾患の多い業界として有名ですが、会計処理が曖昧であることでも有名です。一昨年にメディア・リンクスの架空売上が発覚してから、会計業界としてもその対応に取り組んでいます。去年の8月には会計士協会が「情報サービス産業における監査上の諸問題について」という報告書を公表し、3月には経済産業省が研究会を組織して「情報サービスにおける財務・会計上の諸問題と対応のあり方について」という報告書を公表しています。そして、今年3月にASBJから「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」という実務対応報告が公表されました。この実務対応報告は、主としてメディア・リンクスなどが行っていたスルー取引やクロス取引を禁ずる内容(仲介取引の売上の純額計上)と売上計上に際しての検収の徹底(要件を満たした成果物であるかの確認)です。まだ、規制(正確には指針に過ぎませんが)の形として公表されているのは、上記に留まっていますが、研究会の報告で指摘されている解決すべき問題点は多く残っています。字数もあるので詳しくは書きませんが、簡単にいうと契約や取引上に曖昧な点が多く、かつ十分な可視化がされておらず、正確な管理や検証が行われていない、つまるところ、実行された経営活動を会計数値に置き換えることによって、各種の利害関係者に財政状態および経営成績の実態を開示しようとする会計という行為を正しく行えない状態にあるということです。この問題を解決するためには、業界団体などによる契約や取引の可視化のための標準化(+マネジメント技術などの向上)やそれらに適した会計基準の作成という険しい道のりがありますが、相次ぐシステム障害やユーザー・ベンダー間の訴訟を減らすことにもなりますし、必要な制度でしょう。業界標準の作成は、各種団体・企業が精力的に進めています。この業界の具体的な会計基準は、いつできてくるのやら。
資料其の1(情報サービス産業)
資料其の2(受託ソフトウェア開発)
資料其の1(情報サービス産業)
資料其の2(受託ソフトウェア開発)
by yangyi0312
| 2006-07-17 21:00
| 会計一般