2005年 01月 28日
文化と会計 |
髪が犯罪的に伸びてます。科学的な議論に、文化や倫理を引き合いに出すと少々感情的な議論になりがちですが、これらを科学的に分析することがとても重要だと常々思います。文化は社会の本質的な要素として捉えることができるでしょう。ということで、“文化と会計”と題してみました。会計に限らず経済から普通の生活まで社会一般の制度や慣習などはその国や地域、土地の文化によって異なります。それは、地理的、歴史的、経済的な背景によって法制度、政治制度、経済制度や教育、宗教が異なり、そして社会的な価値観が異なるということでしょう。会計では、主に法制度との関わりにおいて分類されることが多いですね。英米法系の国(主にアングロサクソンの国)と大陸法系の国(欧州大陸の国や日本)という風に。ちゃんとした研究としては、Hofstedeが経済や経営の背景に文化を見出してから、会計学においても様々な分析がされてきました。HatfieldやMueller等の類型化の試みは、最終的にはよく目にするNobesの会計報告の測定慣習の分類やGrayの会計における文化の影響の2つの図に収斂されていったと言えます。前者では、会計制度をまず制定においてミクロベースとマクロベースで分類されていますが、これが慣習法と成文法を分類していると言えます(つまり英米法と大陸法を)。あとは、スウェーデンとオランダを除けば、イギリスの影響下かアメリカの影響下か、また商法ベースか税法ベースかというほぼ歴史的な経緯で片が付いてます。ただ、対象が先進国だけなのが不完全です。後者は研究の対象や範囲がもう少し広く、会計処理の性質まで触れてあります。Authority and Enforcementでは、縦軸に法規制と専門職主義、横軸に画一性と柔軟性をとって10のグループを位置付けています。もうひとつのMeasurement and Disclosureでは、縦軸に秘密主義と公開主義、横軸に保守主義と楽観主義をとって同じ10のグループを位置付けています。大体予想はつくと思いますが、法規制で画一的、そして秘密主義で保守的なのが日本で、専門職主義で柔軟性があり、公開主義で楽観的なのがアングロサクソンということになります(対極)。意外なのがゲルマン系が専門職主義になっているところです。あと、何気にグループ分けで日本だけ単独国家ですね。しかし、現状は世界全体がアングロサクソン系に近付いています。結局、強者の文化がその他の文化を駆逐していくという構造ですよね。私の嫌いな英語も。経済や会計に限らず、すべてがアメリカに追従していく世の中です。優れている所を真似るのはいいですけど、無批判に受け入れるのは問題です。文化はその地域に必要あって生成されてきたものなんですから。
by yangyi0312
| 2005-01-28 23:46
| 会計一般