2008年 11月 18日
時価会計の緩和とか |
前回から1ヶ月、この間、次期大統領にオバマが選出されたり、緊急の金融サミット(G20)が開催されたり、時代は大きく変わろうとしています。そんななか会計の流れは、過去に逆行気味。相変わらず時価会計の緩和が叫ばれ、サミットでも容認する方針が打ち出されています。これが温故知新的な意味合いならまだしも、そういった感じはしませんね。さて、時価会計緩和の動向ですが、IASBから先月13日にIAS19号とIFRS7号を改正する「金融資産の保有目的区分の変更」が公表され、金融資産について「売買目的」から「満期保有」などの区分に変更ができるようになっています。これを受けて、欧州では、保有区分を変更することによって時価評価を回避する動きが拡がっているようで、今月13日の日経によると7行で総額5000億円の利益が増加しているとのことです。しかし、UBSなどでは利用していないようで、利用している金融機関と利用していない金融機関とで比較可能性が著しく損なわれています。また、誰もが批判しているところですが、時価評価の回避は、損失の先送りであり、実態の隠蔽という側面が強いと思います。日本においても同様の処理をASBJにて検討中です(先週の水曜に審議)。そのうち可能になるのでしょう。会計とは別の次元の話ですが、日本では、国内金融機関の自己資本比率規制について、有価証券の含み損を算入しなくて済むルールを決定済みです。金融機関の自己資本比率低下の解決策は、会計を歪めることなく、こういった形での対応が望ましいでしょう。株の暴落は、証券取引所の時価総額基準にも影響を与えているようで、東証、ジャスダック、大証は、12月末まで凍結するとか。でも、年明けに回復するとは思えませんよね・・・。もう世の中、金融システムの防衛にてんてこまいです。金融機関の健全化、資本市場の正常化、政府保証やら公的資金の注入やら、いつ平和な経済社会が戻ってくるのやら・・・。と、そんななか、2009年4月期から始まる受託ソフトウェア開発の工事進行基準、業界団体のJISAから「進行基準適用マニュアル」が公表されました。14日の決算トークにも伊藤忠テクノソリューションの社長が決算発表の7日の遅れを工事進行基準の適用のシステム刷新に手間取ったと語っていらっしゃるように、こちらもてんてこまいのようです。日経ソリューションビジネンスには、毎号工事進行基準の特集が組まれてあり、情報サービス産業における関心の高さが窺えます。一応、元SEの会計研究者として研究対象のひとつですからマニュアルを読んでみようと思います(JISAさんから寄贈して頂きましたし)。
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by yangyi0312
| 2008-11-18 01:29
| 会計一般